月ヶ瀬梅林
奈良県の月ヶ瀬梅林です。江戸から明治にかけ、梅の実を燻製にした烏梅(うばい)が、紅花染めや口紅の原料として使われ、10万本の梅の木がありました。当時の景観を頼山陽は「吉野山の桜に勝る」と絶賛しました。富岡鉄斎もたびたび訪れ、「梅渓放棹図」や「名士観梅図」を残しています。
非観和州香世界
人生何可説梅花
和州(大和)の香世界を観るに非ずんば
人生何ぞ梅花を説くべけんや 頼山陽
兵庫県立美術館「鉄斎」
兵庫県立美術館の鉄斎展です。小学生の時、中山寺の鉄斎美術館で受けた衝撃がよみがえります。この人は書道家なのか画家なのか不思議に思ったのですが、詩が作れて、字が書けて、山水画も描けるのが「文人」なのですね。桃源郷は、陶潜の桃花源記、が原典だったとは。高校の時の副読本「諸子百家・文章」を引っ張り出したら解説にこう記載されていました。「陶淵明の意図は、こういう社会を理想として描くことによって現実(東晋の政治)を批判しようとしたと考えられる。」と。
兵庫県立考古博物館
兵庫県立考古学博物館は播磨町にあります。特別展で松帆銅鐸を改めて見学しました。それにしても、ここの常設展示は本当によくできています。「考古学」が理解できます。展示品のおすすめは出石の袴狭(はかまざ)遺跡出土の2点の木製品です。サケやシュモクザメ、カツオなどを詳細に描写した線刻絵画のある古墳時代前期の琴板と十五隻の船団を描いた四世紀初めの線刻画木製品です。出石神社の祭神はアメノヒボコですが、考古学的にそれを裏付ける資料です。
国立西洋美術館「カラバッジョ展」
カラヴァッジョ展を鑑賞してきました。徹底した写実性と劇的な明暗対比や感情表現で、あらゆるバロック期の画家(レンブラント、フェルメール、ルーベンスなど)に多大な影響を与えたイタリアバロック絵画最大の巨匠です。静物画におけるブドウの実やワイングラスの透明感、また、人物画では、驚愕、恍惚、斬首の瞬間などの表情描写が圧倒的です。