胃カメラは、転ばぬ先の杖

「最近、がん検診を受けていますか?」私は時々皆さんに診察室で問いかけるのですが、「受けてないから、受けます。」と言ってくれる方が少ないのが残念です。

楽しくない話題で恐縮ですが、お葬式が100件あったとします。亡くなった原因は、多い順に、がん35件、脳卒中・心臓病33件、肺炎12件となります。で、最も多い「がん」についてもう少し、目をそむけずに考えてください。統計的には、あなたががんで亡くなる確率は3分の1ということなのです。

胸のレントゲンや便潜血のチェックは多くの皆さんが受けています。特に、便潜血つまり大腸がんチェックでは、多くの方が早期発見で助かっています。診療所では、肺がん(レントゲン)、大腸がん(便潜血)のほかに、胃がん(胃カメラ)のチェックが可能です。男性は採血で前立腺がんのスクリーニングもできます。

胃カメラは「楽な検査」ではありません。しかし、診療所で胃カメラを受けていただいた多くの患者さんが、「思ったよりは楽だった。」「以前によそで受けたのより楽だった。」と話してくれています。「3分間の苦痛=吐き気に耐えるぞ。」というある程度の決意をしていただくこと、これがスタートです。ちなみに私は、毎年、高野先生に胃カメラをしてもらっています。「3分間辛抱すればいいだけ。」と腹をくくっています。私が、検査直前にお願いしていることは、苦いけれどもスプレー麻酔をしっかり受けること、検査のあいだは、のどの力をぬき、むせないためによだれは飲み込まず垂れ流すこと、できるだけゆっくり呼吸して吐き気をやりすごすこと、です。

後悔先に立たず、ではなく、転ばぬ先の杖、でいきましょう。