西行桜
洛西、大原野の勝持寺です。天武天皇の勅により役行者が創建した古刹。西行が出家し、隠棲した寺で、能「西行桜」ゆかりの地です。
西行は一人静かに桜を楽しみたいと願いますが、西行桜の美しさは評判となり、都から多くの人々がやってきます。
花見んと 群れつつ人の 来るのみぞ あたら桜の 咎にはありける
西行
およそ心なき草木も花実の折は忘れめや、草木国土皆成仏の御法(ミノリ)なるべし
世阿弥
曜変天目の同時期公開
めったに公開されない大徳寺龍光院の曜変天目茶碗が、信楽にあるミホミュージアムの「曜変天目と破草鞋」で展示されています。控え目で品のある輝きです。東京の静嘉堂では「稲葉天目」、最も華やかな曜変なのですが自然光での展示で物足りない印象でした。奈良国立博物館では、藤田美術館所蔵の曜変天目が公開中。ほどよい照明で、玉虫色の青や紫の小宇宙を実感できました。世界に3碗しかない曜変天目の同時期公開は非常に珍しいそうです。1か月で3碗を鑑賞できたのは幸運でした。
新国立劇場のウェルテル
東京オペラパレスでマスネーのウェルテルを鑑賞してきました。タイトルロールは「次世代を担うテノール」サイミールピルグ、シャルロットは「現在最高のメゾの一人」と称される藤村 実穂子。合唱曲のない地味なオペラですが、これまで私が体験したオペラの中でも最高級、「世界レベル」の歌唱・演技の素晴らしい3時間でした。
観峰館 特別展平山郁夫
滋賀県の近江商人の町、五家荘にある漢字の博物館です。原田観峰は書家で日本習字の設立者。紀泰山銘の拓本、清の離宮「避暑山荘」、九成宮醴泉銘等の復元石碑など見どころ満載です。特別展は平山郁夫の莫高窟のスケッチの他、平山郁夫の書は珍しいものでした。
東京都現代美術館
3月にリニューアルオープンした東京都現代美術館です。1945年以降の国内外の現代美術が体系的に紹介されており、現代アートをリードする企画展が随時開催されてきました。具体、草間彌生、奈良美智、村上隆・・・、「Chim↑Pom」は面白い。
猫のオリンピック
森美術館の「六本木クロッシング(日本の現代アートの今を見せたい!)」を鑑賞しました。写真は竹川宣彰の「猫のオリンピック」東京オリンピックの熱狂に対する、作家のどこか冷めた感情や批評精神が見え隠れしています。作家活動と平行して、ヘイトスピーチを行う保守運動に対抗するグループ「レイシストをしばき隊」に参加されているとのこと。
観音寺 国宝十一面観音菩薩立像
京都府南部、京田辺市の観音寺です。天武天皇の開基で聖武天皇の744年に写真の十一面観音菩薩立像が安置されたという古刹です。全国に十一面観音で国宝指定の仏像は7体。一木造の心木のうえに木屎漆(こくそうるし)を盛り上げて造形した木心乾漆造で、奈良桜井市の聖林寺の観音像とともに、最古級の天平観音仏像です。見学は随時可能とのことで、ご住職の素晴らしい説明があり、般若心経を読経された後に厨子が開帳されました。手を伸ばせば触れられる距離で拝観できます。なお、写真は「南山城の古寺」という小冊子から転載しています。最も美しいのに、最も知られていない観音様です。