飲み始めたら一生飲まないといけない?

早くも梅雨入りですね。雨の日が続くこの季節はどうしても運動不足になりがちです。高血圧や糖尿病の患者さんの中でデータが悪化する人が例年おられます。また、雨が続く中、ついおっくうで通院をやめてしまう方もおられます。

昨年も、糖尿病の薬をやめたことで血糖が500以上に跳ね上がって意識を失ってしまい、救急車で病院に運ばれて命びろいした患者さんが2、3名おられました。

高血圧も糖尿病も、たいていの人は自覚症状がありません。「そんなに悪いのか」と疑問に思われるのももっともです。私は、心配そうな患者さんに、ついつい「大丈夫、大丈夫。」を連発してしまうのですが、「薬を飲まなくてもいいよ。」と申し上げているのではありません。一時的に血圧があがった、一時的に血糖があがった、そういう人もいますが、「数か月間、平均して、血圧や血糖が高い状態が続いている人」は、「高血圧や糖尿病になってしまった人」なのです。その場合、薬の内服時期を遅らせて得をすることは何もありません。(お金はかかりませんけどね・・・)病気なのに薬を飲まないのは、傘をささずに梅雨の雨に打たれ続けるようなものです。病気になってしまったものは仕方ありません。薬の内服をはじめてください。薬を飲んだ1万人と飲まなかった1万人では、飲んだ人のほうがトラブルにおそわれず、楽しくすごすことができるのです。

飲み始めたら一生飲まないといけないか、についてですが、「薬をやめてみたい」患者さんとは、相談の上、お薬の内服を「休止」しています。食事と運動を努力して、薬なしで療養できるかたも少数はおられます。やってみないとわかりませんが、自己判断で薬をやめることは非常に危険ですので、何事もよく相談して、いっしょに療養していきましょう。