大雪山旭岳
旭岳は大雪山連峰の主峰で標高2,291m、北海道の最高峰です。登山家・植物学者で「大雪山の父」と呼ばれる小泉英雄が旭川の東にあるので旭岳と命名しました。旭岳ロープウェイの山頂駅から登山道沿いにチングルマの大群落が数百mも続いています。
姿見の池から旭岳
10分ほどで火口湖の姿見の池です。噴気孔は勢いよく蒸気を噴出しておりジェット機のような轟音を響かせています。爆裂火口である地獄谷の奥が山頂ですが雲に覆われています。山頂への登山路は右側の斜面にあります。
旭岳の登山道
火山特有の岩と砂礫の登山道で、滑るので脚力を消耗します。30分で半分登ってきました。姿見の池とその先に旭岳ロープウェイの山上駅、左奥に旭岳温泉が見えます。ここから上はガスの世界になってしまいました。
大雪山旭岳山頂
姿見の池から約1時間、日本百名山94座目です。山塊全体を指す大雪山は明治中頃に旅行家の松原岩五郎が故郷・鳥取の「大山」から付けました。アイヌ語では「ヌタクカムウシュッペ」=「幾筋もの滝の源」、また、「カムイミンタラ」=「神々が舞い遊ぶ庭」とも。
大雪山黒岳の紅葉
大雪山一帯の紅葉は日本で最も早い紅葉です。表大雪の東側の玄関、層雲峡から黒岳ロープウェイに乗り黒岳への斜面を登ると紅葉が始まっていました。9合目のまねき岩では、左からニペソツ山とウペペサンケ山、右奥には雄阿寒岳と雌阿寒岳が見えました。
黒岳から旭岳方面
1時間余りで黒岳山頂につくと西側に御鉢平カルデラが拡がります。右から北鎮岳、中岳、間宮岳、(その奥に旭岳)、そして北海岳です。ウラシマツツジの紅葉が始まっていました。
富士山に登って山の高さを、大雪山に登って山岳の大いさを語れ(大町桂月)
層雲峡の銀河の滝・流星の滝
アイヌ語の「ソウウンベツ=滝の多い川」から大町桂月が名付けた層雲峡は北海道で最も有名な温泉地の一つです。聳え立つ柱状節理と絶壁から流れ落ちる滝の景観は約3万年前の大雪山のカルデラ噴火がつくりました。左が銀河の滝、右が流星の滝です。
タウシュベツ橋梁
六角精児さんの「飲み鉄本線日本旅」で知ったタウシュベツ橋梁です。旧国鉄士幌線のコンクリート製アーチ橋で、ローマの水道橋のようです。廃線の橋梁であり、しみ込んだ水が氷化して朽ち果てつつありますが、止めるすべもなく哀愁が漂います。
羊蹄山ひらふ登山口
登山路は4つありますが、宿泊した倶知安(くっちゃん)の、ひらふコースから登りました。斉明天皇の658年から660年に阿部比羅夫が蝦夷・粛慎征討を行い後方羊蹄(しりべし)に郡家を設けたとあり、倶知安町ひらふ地区が比定されています。
ニセコアンヌプリと倶知安
人気の登山道ですが岩と泥の急坂と小トラバースの連続で大変きついコースでした。2時間45分の激登で山頂部の9合目に登りつきました。左がスノーリゾートとして有名なニセコアンヌプリ、右下が倶知安の町とジャガイモ等の畑、右奥は積丹半島です。
羊蹄山の頂上火口
5,6万年前から噴火がはじまり最終噴火は2500年前ですが、活火山に指定されています。山頂部には直径700mの火口があり、黄色い草紅葉になっていました。火口を時計回りに歩いて、火口壁で最も高い場所、山頂へ向かいます。
羊蹄山山頂
羊蹄山1898mの山頂です。登山口からの標高差は1550m、3時間半かかりました。日本百名山95座目です。アイヌ語のシリベツ→後方(しりへ)羊蹄(し=羊蹄型の葉の植物の和名)→後方羊蹄山(しりべしやま)→羊蹄山(ようていざん)が名前の由来です。
羊蹄山から洞爺湖
画面左に洞爺湖と有珠山、その奥に内浦湾(噴火湾)が拡がり、正面遠くに渡島半島のランドマーク、北海道駒ケ岳が見えます。元来た道を引き返して下りは2時間でした。
チーズ工房タカラ
羊蹄山から新千歳に向かう国道沿いに牧場と牛舎と乳牛が見え、瀟洒なお店の小さなショウケースに美味しそうなチーズが並んでいました。ハードタイプは第3回ジャパンチーズアワードグランプリ。フレッシュ、リコッタ、ラクレットも金賞。買って大正解でした。
支笏湖と恵庭岳
旅の最後に支笏湖にやってきました。周囲40kmの大カルデラ湖、透明度は摩周湖やバイカル湖に匹敵、深さ360mは田沢湖に次いで2位。対岸に聳える恵庭岳に札幌オリンピックの滑降コースがあったことをはじめて知りました。
湖北の十一面観音
国宝の十一面観音は7躯。大阪道明寺、奈良室生寺、京都観音寺などですが、観音の里として知られる滋賀県長浜市高月町の向源寺(渡岸寺観音堂)を訪問しました。平安時代末期作の195cmの美しい彫像は立派な収蔵庫に展示され360度から参拝・鑑賞できます。
雨森芳洲庵
正式名称は東アジア交流ハウス雨森芳洲庵、長浜市高月町の雨森(あめのもり)にあります。雨森芳洲は江戸時代中期の儒学者で日本語、朝鮮語、中国語を駆使し、朝鮮通信使に随行して活躍しました。著作で「互いに欺かず争わず真実を以って交わる」と述べています。
布引山釈尊寺
信州小諸のお寺の観音堂で、清水寺と同じく縣崖造り、お堂の裏側には千曲川の流れがあり、向こうは浅間山です。有名な「牛に引かれて善光寺参り」の牛さんは、このお寺の布引観音さまの化身です。
戦没画学生慰霊美術館「無言館」
信州上田の美しい林の中にあります。全国を回って戦没画学生の遺族を訪問し遺作を蒐集した館主の窪島誠一郎さんの言葉です。「自分のような人間が、涙ぐみながら『弟の絵をよろしくお願いします』と言う人に向かって、何が言えますか。何も言えないでしょう。」
特別展「無言館 残された絵画からのメッセージ」
六甲アイランドの神戸ゆかりの美術館で11月29日まで開催されています。
遠い見知らぬ異国で死んだ画学生よ
私はあなたを知らない
知っているのはあなたが遺したたった一枚の絵だ
その絵に刻まれたかけがえのないあなたの生命の時間だけだ
窪島誠一郎