世界遺産アヌラーダプラ
シギリヤロックに惹かれてスリランカに行ってきました。地図ではインドの右下に位置し、北海道とほぼ同じ大きさの島国、昔はセイロンと呼ばれていました。
スリランカには約7割を占めるシンハラ人(インド=ヨーロッパ語族のアーリア系)と約2割のタミル人(ドラヴィダ系、インダス文明を築いた)がおり、シンハラ人は仏教徒、タミル人はヒンドゥー教徒で、古代から激しく対立し、近年も1983年から2009年まで激しい戦闘がありました。今回の民族紛争はシンハラ側の勝利で終結し、現在のスリランカ観光は、歴史的にシンハラ人勢力が支配し、また経済的にも発展している中南部の世界遺産をめぐることとなります。
アヌラーダプラは紀元前4世紀から11世紀までアヌラーダプラ王国の王都で、広い範囲が世界遺産に指定されています。左上は、スリーマハー菩提樹(光り輝く聖なる偉大な菩提樹)で、スリランカ仏教の聖地です。ゴータマ・シッダールタが悟りを開いた地にあった菩提樹の分木を、インドのアショーカ王の娘がスリランカにもたらし、紀元前288年に植樹されたとの伝承があります。植樹された世界最古の樹木となります。下段は岩窟に彫られた紀元前3世紀の寺院でイスルムニヤ精舎、スリーマハー菩提樹も309年にもたらされた仏歯も当初はここにあったとされる聖地です。右中は「馬と人」で古い彫刻、右中「恋人の像」は5世紀とのこと。右上は紀元前140年に建立されたルワンウェリ・サーヤ仏塔で高さは55m、内部に仏舎利がある。毎年白く塗られるので、古さは感じられません。
世界遺産シギリヤロック
高さ200mの巨大な岩で山頂部には宮殿跡があります。築かれたのは5世紀後半ですから、日本では雄略天皇の頃で古墳と鉄剣が残るのみですが、スリランカは遺跡も遺物も豊富です。右下は宿泊したシギリヤビレッジホテルからの景観です。
シギリヤロックへの階段
シギリヤロックの正面には世界最古のプールや噴水設備のある庭園跡が拡がります。中腹にはテラス地形があり、往時にはれんが造りのライオン像があったようですが、今はライオンの爪のみが残っています。ほぼ90度の岸壁に鉄製の階段が据え付けられており、誰でも登ることができます。
山上王宮遺跡
山上にはレンガ積みの基礎が残っており、日本の山城跡のようです。山上にもプールがあるのには驚きます。右上と右中は博物館にある再現図と模型です。山頂部からは360度の展望がありますが、周囲はすべてジャングルで、1831年にイギリス人により再発見されるまで、この遺跡は樹木に覆われていました。
シギリヤレディ壁画
岩の正面の岸壁にあるフレスコ画で築城時5世紀のものです。当初500体あった女性像は風化により現在18体が残るのみですが、色鮮やかに残っています。実物は撮影禁止なので、画像は博物館にある再現図です。以前には紙幣にも取り上げられていました。ちなみに日本最古の壁画は西暦700年頃のキトラ古墳壁画になります。
世界遺産ポロンナルワ
シンハラ人の王国は、短いシギリア時代を除き、紀元前377年からアヌラーダプラでしたが、南インドとスリランカ北部を拠点とするタミル人のチョーラ朝に破壊され、1017年にポロンナルワに逃れます。そのポロンナルワも1255年に南インドのタミル人王朝により破壊され、19世紀にイギリス人により再発見されるまで、密林に埋もれていました。
ガルヴィハーラは涅槃仏はじめ、花崗岩の岸壁から掘り出された4体の彫像の仏像がある12世紀の石窟寺院。ワタダーゲは円形でかつては屋根があった7世紀の仏塔跡。ハタダーゲは12世紀に建てられた仏歯寺跡で、アヌラーダプラから移された仏歯がおさめられていました。12世紀の日本といえば平泉の中尊寺や安芸の宮島ですね。
シギリヤビレッジホテルの朝食
左下は米粉で作るホッパー、右上はストリングホッパーという米粉の素麺とキリバットというココナッツミルクで炊いたライス。右中はレンズ豆のダルカレー、下中は様々なカレー、チキン、オクラ、魚など。下右はサンボルで漬物やふりかけのような副菜。ポルサンボルはココナッツとモルジブフィッシュの鰹節などでできた「ふりかけ」。油断するとあとで唐辛子の辛みが強烈にやってきます。主食と複数のカレーとサンボルを取ります。野菜は豊富でサラダは華やかに盛り付けることができます。
シギリヤビレッジホテル
シギリヤロックに近い密林の中に宿泊棟が点在するホテルで、プールからの景観が素敵でした。敷地内の木々にはサルやシマリスがいます。飼われているのか自然にいるのかわかりませんが2羽のクジャクも見かけました。
世界遺産ダンブッラの石窟寺院
150mの岩山に5つの石窟があります。紀元前1世紀の文字でその当時の王の名が彫ってあり、第1窟の涅槃像は紀元前1世紀、また第2窟の涅槃像等々はアヌラーダプラまたはポロンナルワ時代の彫像です。第3窟から第5窟はキャンディ時代の彫像で、またすべての壁画は色鮮やかでキャンディ時代とのことです。
キャンディの仏歯寺
仏歯は309年頃にスリランカにもたらされ、王権の象徴となり、アヌラーダプラ、ポロンナルワと移動し、シンハラ人の最後の王朝がキャンディを首都とした16世紀後半からは仏歯寺に祀られています。夏のペラヘラ祭りでは舎利容器に入った仏歯が、装飾された像にのせられ市内を行進します。寺の中の壁面には仏歯のストーリーを描いた絵画がずらりと並び、仏歯の前では大勢の参拝客が花を供えて祈っていました。
キャンディアンダンスショー
キャンディ王朝の時代に宮廷で踊られていた舞踏や仏教以前の悪魔祓いの儀式に起源をもつような舞踏です。左下のウェスダンスは男性が装飾品を身に着けて踊るキャンディの代表的な舞踏。戦士の勇猛さを表すバク転や高速回転の踊りの一方で、女性の踊りは孔雀の踊りや茶摘みの踊りなど美しく優雅でした。
キャンディのクイーンズホテル
英国統治時代、1844年創業のコロニアル様式のホテルで、手動式ドアのエレベーターや重厚感のある階段、ラウンジバーなど古き良き時代を感じます。第2次大戦中には、ビルマ戦線で日本と戦ったイギリス軍司令官は、ここを常宿としていました。
ニューギラガマティー
ツアーで訪問した観光紅茶工場、見学歓迎の日本酒の蔵元のような感じです。阿片戦争当時、イギリスはインドのアッサムで紅茶を、セイロン(スリランカ)のプランテーションではコーヒーを栽培させていました。19世紀後半、コーヒーさび病の大流行により、紅茶栽培がとってかわります。こうしてセイロンティーが有名になります。1階で紅茶の製造過程を見学、2階では等級区分などの説明と試飲がありました。地酒ならぬ地紅茶といったところでしょうか、真面目に作っているおいしい紅茶でした。
ピンナワラ「象の孤児院」
親を亡くしたり、親とはぐれてしまった子ゾウを保護している施設です。元子ゾウのほうが多いのですが、1日2回の自然の川での水浴びの様子と園から川への往復の行進が見ものでした。スリランカのシンハラ人社会は、仏教の教えにより、生き物を大切にします。象の保護にも熱心にとりくんでいることがよくわかる施設でした。
世界遺産ゴール旧市街地
古代から交易拠点で14世紀にはイブン・バトゥータ、15世紀には明の鄭和が訪れています。1625年にポルトガルが要塞を築きますが、1640年にオランダ東インド会社が占領。現在の要塞は1663年に完成。1796年にはイギリスが占領。交易拠点がコロンボに移ったことで、かえって旧市街が保存されることになりました。右中はVOC(オランダ東インド会社)の紋章のある要塞の門です。古代アラブ商人の末裔であるスリランカムーアも人口の4分の一を占めます。教会が改修された美しいモスクに夕陽が沈んでいきました。
ヘリタンス・アフンガラホテル
今ではリゾートホテルの定番となったインフィニティープール発祥のホテルです。スリランカの有名な建築家ジェフリーバワの設計で1981年に完成。海と空とプールが一続きになったように見えます。
ディルマ
スリランカ資本による紅茶ブランドで現地製品化にこだわっているので、新鮮で香りがよいとのコメントをたくさん見かけました。ウヰスキーで言うと真面目につくったシングルモルトというところでしょうか?コロンボで行くべきティーラウンジに、ディルマのこのティーラウンジがよく紹介されています。
コロンボ
スリランカは紅茶やシギリヤロックが有名。ところでスリランカの首都はコロンボじゃないよ。チコちゃんは知っているスリジャヤワルダナプラコッテ、そんなの常識。真ん中はその首都にあるジェフリー・バワ設計の国会議事堂。そして、コロンボ市内にはイギリス統治時代のコロニアル建築と高層ビルが共存しています。
スリランカの商店
果物屋は色々なバナナがぶらさがっています。右上はカシューナッツの店。中左は木彫の工芸店、右はホテルのおみやげショップ、左下は高速道路SAのフードコートの飲食店、右下は遺跡内の民芸品のお店。
スリランカのスーパーマーケット
左上はスリランカ米。5kgで1160ルピー→580円、買えばよかったかなあ? でもパラパラ米だけど。コメは量り売りも。フルーツはこんな感じで、魚は氷の上にバラバラ置いてある。肉は大きな塊で。野菜は種類が豊富で楽しい。
スリランカの食事
上と中右は米粉や小麦粉が原料で専用容器で焼くホッパー。食事会場には朝食ならタマゴを調理してくれるコーナーが必ずある。中左がポルサンバル、ココナッツを細かくしたものにモルジブフィッシュの鰹節、唐辛子、玉ねぎ、レモンを加えて和えたもの。ご飯の友という感じ。左下はランプライス。ターメリックライス、チキンカレー、シーニサンバル(玉ねぎ、にんにく、鰹節)などをバナナの皮で包んだお弁当。
スリランカの野生動物
郊外の道路沿いにはゾウがあらわれるのでビックリ。サルはたくさんの種類がいる。これもしょっちゅう見かけますし、ニホンザルのように攻撃的ではありません。
川や池にはワニがいるので要注意。クジャクやペリカンもいます。国立公園のサファリツアーに行けばレパードに会えることもあるようです。
Better Co-Being
大屋根リングで感じる「世界の響き」と静けさの森で体験する「いのちの響き」を感じたあとで訪問するように案内されています。昼のパビリオン入場は予約がとれず夜の短時間の通り抜けでパビリオンを体験しました。上が宮田裕章の「最大多様の最大幸福」、右下は塩田千春の「言葉の丘」、左下は宮田の「共鳴の空」です。「未来を響き合わせる旅」をやっと体感できました。