早池峰神社

早池峰神社

5月1日、午後から回復という天気予報を信じて、早池峰山に登ります。登山口の岳集落にある早池峰神社に参拝、令和の初詣です。
この神社の「早池峰神楽」は長享2年(1488年)の神楽伝授書の存在から、始まりは南北朝時代であり、わが国でも最古級ということで、平成21年(2009年)にユネスコの無形文化遺産に登録されています。神楽伝承館は9時半の開館、残念ですが9時に出発します。

早池峰小田越道路

早池峰小田越道路

早池峰山登山口である河原の坊や小田越に至る車道は5月10日まで冬季通行止めです。手前の駐車場に駐車して、小田越まで8km、標高差700mの車道をここから歩きます。

河原の坊

河原の坊

6km、標高差500mを登ってきました。河原の坊は、鎌倉時代に快賢という僧が、早池峰山に霊威を感じ、この地に草庵を構えたからだそうです。宮沢賢治の詩碑がありました。
早池峰山の登山口の一つですが、ここから山頂へのコースは崖崩れで通行止め。自然監視員さんがおられて小田越コースのアドバイスをいただきました。

小田越への車道

小田越への車道

さらに2km先の小田越へ向かいます。霧雨が降り続き、足も痛みます。誰もいません。左右に雪壁があらわれました。ペースが上がりません。

小田越

小田越

宮古方面へつながるこの車道の頂上で登山口である小田越に到着。2時間10分かかりました。監視小屋の管理員さんに登山届を提出。11時20分、やっと登山コースに入ります。
晴れていれば、正面に早池峰が見えるのですが・・・。

樹林帯出口

樹林帯出口

赤テープを頼りに樹林帯を登ってきました。雪が結構深く、「踏み抜き」に苦労してさらに脚力消耗。霧雨と冷たいガスで気力も低下します。

ハシゴ場

ハシゴ場

5合目を12時50分に通過、8合目のこのハシゴを登り終わって急坂は終了。シーズンなら、このあたりはハヤチネウスユキソウなどの多くの高山植物が見られるところです。

お田植場

お田植場

13時15分、稜線に到着。あと400m。予報どおりならそろそろ晴れるはずですが・・・。

早池峰山頂避難小屋

早池峰山頂避難小屋

稜線は幅が広くなだらか、山頂手前は一面の雪原でした。山頂手前の避難小屋は2階の冬用の出入り口まで積雪あり。

早池峰神社奥宮

早池峰神社奥宮

オレンジの建物が早池峰神社の奥宮。「はやちね」の語源は、アイヌ語の「パヤチカ」が転じたと言う説。疾風=「ハヤチ」の吹く峰なので早池峰。あるいは山頂の池水の、湧いたり涸れたりが速いことから「早池の峰」など。

早池峰山頂

早池峰山頂

13時30分、到着。早池峰1917m、ウン?1917と言えば、ロシア革命。メーデーの日にロシア革命の年と同じ高さの百名山に登ったのは面白い偶然です。日本百名山86座です。
岩手県の名山、花巻と遠野と宮古の真ん中、北上山地の最高峰です。

8合目

8合目

同じ道を帰ります。8合目で少しガスがはれました。至仏山と同じ、蛇紋岩の山です。植物が生育しにくい地質のおかげで夏には高山植物が咲き乱れます。

薬師岳

薬師岳

5合目まで下ってきました。ガスは減りましたが、展望はこれが精いっぱい。早池峰の南隣の薬師岳がかすかに見えました。そのむこうは遠野です。

車道より早池峰山

車道より早池峰山

車道を8km歩かねばなりません。早池峰山の展望もこれが精いっぱいでした。

早池峰獅子踊

早池峰獅子踊

翌日は好天、ですが山上は風速20mの予報、それで昨日登ったわけです。遠野のふるさと村を訪問すると南部曲がり屋でちょうど保存会の皆さんによる「早池峰獅子踊」の最中でした。子供たちの衣装の可愛らしいこと。笛太鼓の調子も素朴でみちのくの春を満喫。

カッパ淵

カッパ淵

有名な遠野のカッパ淵です。座敷わらしがキュウリでカッパを釣ろうとしています。この後に訪問した遠野市立博物館では遠野物語の世界から遠野の歴史や民俗文化まで充実した展示内容でした。水木シゲルによる遠野物語のアニメも見ごたえがありました。

宮沢賢治記念館から早池峰山

宮沢賢治記念館から早池峰山

花巻の宮沢賢治記念館駐車場の東端に、注文の多い料理店=山猫軒(レストラン兼土産物店)がありまして、その横から、正面に早池峰山、右に薬師岳が見えました。

宮沢賢治記念館

宮沢賢治記念館

花巻ではここははずせません。文章の多い展示で大人向きですが、彼の生い立ちから人格形成、作品、思想まで、「心象世界」「作品世界」「フィールド」と分けて、考え抜かれた展示内容で秀逸です。「永訣の朝」「雨ニモマケズ」の展示の前では涙をこらえられませんでした。