粟生岳から南側展望

1月2日、鹿児島港からフェリーで4時間、屋久島の宮之浦港へ。翌3日、7時前に淀川登山口を出発、途中から10本爪アイゼンを装着して10時半に粟生岳まで来ました。左から翁岳、安房岳、投石岳、黒味岳ですべて1,800m級の山々です。黒味岳の左後方が淀川登山口で、黒味岳の左奥からこの峰々の右斜面の登山道を歩いてきたのです。

宮之浦岳

いよいよ前方に宮之浦岳が迫ってきました。緑の笹(ヤクザサ)に覆われており、風化浸食で現れた花崗岩が点在しています。九州の最高峰は阿蘇山でも高千穂でもありません。3位:祖母山1,756m、2位:九重山の中岳1,791m、1位がこの宮之浦岳(1,935m)です。

宮之浦岳山頂

最後の急登を15分で山頂に着きました。日本百名山82座目、百名山で最も南にある山です。360度の大展望ですが見渡す限り山ばかり、上空は晴天ですが島周囲の海上は雲で覆われ、種子島や大隅半島は見えませんでした。

宮之浦岳から永田岳

北西側には永田岳が立派です。あの山頂を超えて降りると、アカウミガメの産卵で有名はいなか浜のある永田の集落です。屋久島は直径約25km、巨大な花崗岩が隆起してできたほぼ円形の低いお椀を伏せた形の島で、島中心部の宮之浦岳から麓の集落は見えません。

花之江河

黒味岳の麓まで戻ってきました。右の山がその黒味岳。ここは清らかな水が流れる湿原で日本庭園のようです。ヤクシカがよくやってくるというので待ちましたが残念ながら会えませんでした。蛇足ですが、屋久島の鹿だからヤクシカではなく、アイヌ語で鹿はヤクでヤクのいる島だからヤク島→屋久島、が正解のようです。隋書には「夷邪久(イヤク)」、日本書紀推古天皇の条には「掖玖人(ヤクヒト)」として、古い文献にすでに登場しています。

ウィルソン株外観

翌日は荒川登山口からウィルソン株に会いに行きました。有名な屋久杉の切り株で、豊臣秀吉が京都方広寺建立のため、島津久光に命じて切らせたそうです。大正3年に、アメリカ人の植物学者ウィルソンが再発見したのでウィルソン株です。

ウィルソン株

株の中は直径4m、高さ3mくらいの空洞になっており、入ることができます。入って右側から見上げると、このようにハート型に見えます。

トロッコ橋梁とヤクザル

ウィルソン株や縄文杉への人気ルートが荒川登山口からのトロッコ道。橋にヤクザルがいました。大正末期にトロッコ(森林鉄道)が開通。高度成長期の昭和35年には橋の手前の小杉集落は営林署職員とその家族で最大人口540人と繁栄。今は廃村で学校跡地も森に戻りつつあります。伐採と集落の歴史は麓の屋久杉自然館で学ぶことができました。

苔むす森

屋久島のトレッキングの中で最も簡単に訪問できるのが白谷雲水峡。とはいえ、入り口からかなりの登山道を約1時間でやっと到着。ここは、もののけ姫の「苔むす森」のモデルになった場所として有名です。

平内海中温泉

屋久島南側の平内集落、海のそばにある温泉です。干潮時間の前後4時間しか入ることができません。1月4日の15時、干潮の2時間後、ギリギリのタイミング。入ってすぐに潮が押し寄せ200円の入浴は5分で終了。温泉は波に洗われ、海中に没してしまいました。