御殿場口駐車場から富士山
午前4時50分です。新東名高速を走って午前1時に駐車場に到着。2時間仮眠のつもりが、寝過ごしてしまいました。朝日に照らされて、ちょっと赤富士になっています。左に宝永噴火(1707年)の宝永山(2693m)と火口が見えています。
御殿場口の鳥居
富士山は信仰登山の山で、各登山口の起点と終点には鳥居があります。4か所の登山ルートがあり、北側から、吉田ルート、須走ルート、御殿場ルート、富士宮ルートです。ここ御殿場口新5合目の標高は1440m、御殿場口頂上までの標高差は2270m、コースタイムは登り8時間30分、下り3時間20分、ロングコースですが日本一の富士山を体感できるはずです。
御殿場ルート登山道
登山口から30分登ってきました。一面の火山砂礫地です。生えているのはオンタデ。御岳山で発見されたタデ科の植物なのでオンタデ。過酷な環境の地に真っ先に生えるパイオニア植物です。この道は山小屋への荷揚げ用のブルドーザー道で、登山道はブルドーザー道と交差を繰り返して山頂へと続きます。
御殿場ルート新6合目
午前6時40分、2時間登ってきました。砂礫の登山道は1歩毎にズルズル後退して脚力を消耗します。つらい登山道ですが、圧倒的な開放感は他では体験できません。
荷揚げ用ブルドーザー
山小屋へ向かうブルドーザーが登ってきました。一直線の斜面は宝永山の稜線、1707年の宝永噴火による火山灰で自然の造形美です。
7合目のわらじ館
午前9時、標高は3000mを超えました。御殿場ルートでは、7合5勺に、このわらじ館と上方に見える須走館の2つの山小屋だけが営業していました。ポカリ500mlが500円、カレーライス1200円など。宿泊もできて1泊2食付き7800円(土曜日は9800円)。到着したブルドーザーにはスイカも積んでありました。
7合9勺から宝永火口
7合9勺まできました。宝永火口が見えます。晴れれば駿河湾が見えるはずですがガスで見えず残念です。時間は9時半、ここまで4時間半強で登れました。コースタイムはあと2時間。オンタデも消え、登山道は軽石や大きな溶岩も転がり、火山礫とは別の登りにくさです。急斜面で上部からの落石の恐怖も感じます。
御殿場ルート頂上
11時15分、御殿場ルート頂上の鳥居です。コースタイム8時間半を6時間半弱で登り切りました。行動食は、水3Lのうち2Lを飲み、ウィダーインゼリー2個、スナックパン2本、ブラックサンダー1袋、カリカリ梅・・・。最後は根性で登りました。
富士頂上火口
各登山ルートの「頂上」はルートが火口縁にたどりついたところです。ここ、御殿場頂上も火口縁ですから鳥居から20mすすむと頂上火口壁です。火口の直径は780m、周囲は約3kmで、火口縁を1周することをお鉢巡りといいます。なお、頂上火口で最後に噴火があったのは2300年前です。
富士宮ルート山頂
時計回りに3分で、富士宮ルート山頂。ここには、頂上富士館という山小屋と右側に浅間大社奥宮と郵便局がありました。右奥が頂上火口縁の中の最高地点、すなわち日本最高地点の剣が峰で富士山測候所も見えます。
富士山剣が峰
ここが日本最高地点3776mです。記念写真をとるための行列に20分並びました。疲れ切った顔をしています・・・。お鉢巡りをする元気はありませんでした。頂上富士館(3712m)に戻り、日本で最も高い「飲食店」で、日本で最も高いカップうどん(800円)をいただき、「富士山頂まで登ったような気になる飴」という日本で最も高い飴、をおみやげに買いました。
下り6合
12時40分に御殿場頂上から下山開始。カップうどんで元気回復。1時間で「下り6合」に到着。宝永山の山頂に登山者が見えます。このあたりから「大砂走(おおすなばしり)」という「駆け降りることができる」下山道です。火山灰土の道を予想していたのですが、砂混じりの砂利道です。深く沈み込むので靴の中は砂利だらけです。
大砂走中間点
20分間走り降りると、左下に小さく登山口駐車場がみえてきました。靴に入った砂利で足底と爪が痛みます。前の人の砂塵が目にしみます。さらに50分、重力のままに走ると、14時50分に駐車場に戻りました。合計2時間10分で下山できました。
白糸の滝
翌日、白糸の滝を訪問しました。富士山の溶岩流がつくった絶景です。このあたりはかつて源頼朝が富士の巻狩をした地で日本3大仇討の一つ、曽我兄弟の仇討ちの舞台でした。歌舞伎の「寿曽我対面」ゆかりの史跡を感慨深く見て回りました。
静岡県富士山世界遺産センター
富士宮駅前にあります。逆円錐形の展示棟の木格子は富士ヒノキ。水面に富士の形に映ります。内側はらせんスロープになっていて、壁面の映像で富士登山を疑似体験しつつ、「富士山、信仰の対象と芸術の源泉」という世界文化遺産としての富士を、富士講、浅間大社、能「羽衣」、竹取物語や和歌に詠まれた富士、北斎や広重の浮世絵等、タッチパネルや映像で学ぶことができます。
人知れぬ 思ひをつねに するがなる 富士の山こそ 我が身なりけれ
詠み人知らず 古今和歌集
富士宮やきそば
B1グランプリで初代チャンピオンの富士宮やきそば。浅間大社前の「お宮横丁」の学会直営アンテナショップでいただきました。専用の蒸し麺、肉かす(豚の背脂の搾りかす)、イワシの削り粉が特徴です。富士登山後の富士宮やきそばは格別でした。