天城山から富士山
伊豆半島の中央部に東西に連なる山塊が天城山です。天城高原ゴルフ場の登山口から万二郎岳(ばんじろうだけ 1,299m)を越えると岩場があり、富士山が見えました。手前は修善寺で左奥は沼津と駿河湾です。3月の前進座神戸公演「怒る富士」の宝永火口は山頂の右下です。
馬の背と万三郎岳
右手前は馬の背という尾根で、左には最高峰の万三郎岳(ばんざぶろうだけ 1,406m)が顔をだしています。周囲の山麓には葉に甘みがある木、甘木(あまぎ)が多く自生するので、天城山(あまぎさん)となったとか。ちなみに甘木はアマチャの仲間だそうです。
天城山縦走路
標高が低いので登山道はブナ、ヒメシャラ、アセビ、シャクナゲなどの広葉樹に覆われています。2月初旬のこの日、晴天に恵まれ風もなく、静かな登山道を簡易アイゼンでサクサクと楽しく登りました。アセビの白い花は4~5月が見ごろのようです。
万三郎岳山頂
日本百名山52座目、天城山の最高峰、万三郎岳(1406m)に到着です。雪道だったので2時間半ほどかかりました。木々に囲まれて展望がないのはちょっと残念。さらに天城峠まで縦走路は続きますが、ドライブ登山ですからここで引き返しました。
旧天城トンネル
川端康成『伊豆の踊子』や、松本清張『天城越え』で有名な旧天城トンネル、正式名称は天城山隧道(あまぎさんずいどう)です。1904年(明治37年)完成、全長は445.5メートルあり、石造道路トンネルとしては日本最長で、重要文化財に指定されています。
重なり合った山々や原生林や深い渓谷の秋に見惚れながらも、私は一つの期待に胸を ときめかして道を急いでいるのだった。そのうちに大粒の雨が私を打ち始めた。折れ 曲がった急な坂道を駈け登った。ようやく峠の北口の茶屋に辿りついてほっとすると 同時に、私はその入口で立ちすくんでしまった。余りに期待がみごとに的中したから である。そこで旅芸人の一行が休んでいたのだ。
小説『伊豆の踊子』 川端康成著より
浄蓮の滝
「天城越え」の歌詞に登場する浄蓮の滝です。落差は25mで日本の滝百選に選ばれています。右側に玄武岩の柱状節理が見えます。天城山が火山ということがわかります。
左側には石川さゆりのレリーフと「天城越え」の歌碑があります。青森の龍飛崎では「津軽海峡冬景色」が流れていましたが、ここでは残念ながら曲はかかっていませんでした。
世界遺産ラスコー展
東京は上野の国立科学博物館で開催された世界遺産ラスコー展です。ラスコー洞窟は、フランスの西南部ドルドーニュ県にあり、約2万年まえにクロマニョン人によって描かれた動物壁画で有名です。
黒い牝ウシとウマの列
最新スキャニング技術を駆使して壁画のある洞窟壁が5点再現されています。会場は暗くなったり明るくなったりするのですが、ここで使用した2万年前のランプも展示されており、ほの暗い中で制作したことを体感できます。黒い牝ウシとウマの列です。
泳ぐシカ
洞窟壁のくぼみの線を水面に見立て、シカの頭部だけを描いています。2万年前の人類にこのような知性と感性があったのかと心を奪われます。ちなみに知られるもので最古と思われるのは南フランスのショーヴェ洞窟壁画で約3万2000年前 とのことです。
茶碗の中の宇宙
茶碗の中の宇宙、樂家一子相伝の芸術、京都国立近代美術館です。利休の侘び茶の思想を反映して創始した樂茶碗の歴史を俯瞰できました。詫び茶の神髄を表現した逸品として名高い、利休七種の一つ「大黒(おおぐろ)」(重文)、これぞ宇宙ですね。
クラーナハ展
大阪中之島の国立国際美術館で開催中のクラーナハ展。正義の寓意「ユスティティア」が出迎えてくれます。ローマ神話に登場する女神の名前はラテン語で「正義」を意味し、英語ではジャスティス、天秤と剣を手にしています。宗教画としてならヌードを描くことができたのですね。クラーナハといえばマルティンルターの肖像画でも有名です。本年はルターの宗教改革1517年から500年、それで副題が500年後の誘惑です。