京都国立博物館 さるづくし

2016年はさる年ですね。京都国立博物館の新春特集陳列「さるづくし―干支を愛でる─ 」を鑑賞してきました。猿の絵といえば、長谷川等伯の猿猴捉月図が有名ですが、等伯はじめ日本の画家が手本とした宋末元初の水墨画家、牧谿(もっけい)筆と伝承される猿猴図ほか、式部輝忠、森狙仙、長沢芦雪などの秀作の競演です。

大山

12月初旬、米子の鳥取大学医学部へ学生講義に行きました。地域医療学講座で医学部の2回生に、医療はすべからく地域医療であるべき、と熱弁(?)をふるってきました。今年の12月は暖かかったですね。山陰の12月には珍しい好天で美しい大山を望めました。

山中鹿之助

尼子氏の居城、月山富田城址の山中鹿之助像です。足立美術館から車で10分ほどです。出張講義の際に寄り道しました。鹿之助は山陰の戦国大名尼子氏の家臣。尼子家再興のために「願わくば、我に七難八苦を与えたまえ」と三日月に祈った逸話で有名です。勝海舟いわく、「ここ数百年間の歴史を遡って見ても、本当の逆境に挑んで、慌てず落ち着いて処理した者はほとんどいない。もしいるとするなら、山中鹿介と大石良雄だろう。」

徳川美術館 源氏物語絵巻

国宝一挙公開!このフレーズに弱い私です。鳥獣戯画も風神雷神もよかったなあ、ということで、名古屋へいってきました。源氏物語絵巻の修復について、テレビで何度か放映されていましたが、複製と原本とを見比べることができる素晴らしい展示でした。女三宮と柏木のあいだにできた不義の子、後の薫を我が子として抱く光源氏の場面が秀逸です。

宇治十帖モニュメント

源氏物語絵巻に触発されて、久しぶりに宇治の源氏物語ミュージアムを訪問しました。写真は宇治川の朝霧橋横にあるモニュメント。匂宮が浮舟を抱いて小舟で漕ぎ出す、有名な場面ですね。ミュージアムでは平安貴族の暮らしぶりが展示され、映像解説も楽しめます。ミュージアムショップで瀬戸内寂聴さんの源氏物語をはじめて手にしました。わかりやすく、とくに和歌の現代語訳には感心しました。

宇治 上林記念館

平等院の参道にお茶の店がたくさん並んでいますが、宇治橋通りのここを訪問してください。上林家は秀吉時代から茶師で徳川時代は宇治の代官。「茶壷に追われてトッピンシャン、抜けたらドンドコショ」の歌で知られる御茶壷道中の総責任者「茶頭取」もつとめていました。ちなみに歌詞は、庶民は行列を見ることが許されなかったため、「茶壷が来たら家の戸をピシャッと閉め、過ぎたらヤレヤレと一息ついた」という意味だそうです。茶壺は呂宋壺(ルソン壺)で中国南部産の壺がフィリピン経由で輸入されたもので、たいそう珍重されていました。秀吉や小堀遠州の消息なども拝見できます。

東本願寺 渉成園

源氏物語のモデルは源融(みなもとのとおる)だとか。その源融が営んだ六条河原院の旧蹟が渉成園と読んだ記憶があって訪問しました。実際の源融の旧蹟は渉成園よりやや離れた場所にあったと発掘調査で明らかになった由です。作庭は石川丈山で、「源融ゆかりの石塔」や「塩釜の手水鉢」など、伝承に基づいた景物が趣向として配されています。庭は江戸時代の武家の庭ですね。池泉回遊式で煎茶席、抹茶席、大書院が配されています。源氏物語の六条院を夢想するには、浄瑠璃寺のほうが適していました。